私の友人が体験した話です。
わかりやすく、友人はAとします。
いつものように、Aは友人と二人で、その日の学校での出来事や、好きな人の話をしながら帰宅していました。
角を曲がり、Aの家まで後50mという時、前から原付バイクがゆっくりと近づいてきました。
顔を見ると、Aの家の近くの駄菓子屋のおじさんでした。
Aも中学生になってからは、その駄菓子屋さんに行くことは少なくはなっていたものの、小さい頃から祖母や母に、挨拶はしなさい、と言われて育っていて、その日も挨拶をしようと思いました。
でもなぜか声が出ず、ニコリと会釈をしたのでした。
その後すぐ家に着き、家の前で友人と別れました。
自宅に入るとAの祖母が
「駄菓子屋のおじさん、亡くなったらしいよ」
と声を掛けてきました。
「えっ?さっき前の道でバイクに乗って家に帰ってたよ。友達も見てるし」
Aはそう言って、友人が自宅に着く頃を見計らって電話をかけました。
「さっき私の家のすぐ近くで、バイクに乗った駄菓子屋のおじさんとすれ違ったよね」
と。
すると友人は
「誰にも会ってないよ」
と答えました。
「私が挨拶しようとして、でも声出なくて、会釈したらおじさんも笑って会釈してくれたよ。すれ違ったよね」
「ううん。誰とも会ってないよ」
Aは愕然として電話を切りました。
祖母の話では、そのおじさんは癌を患っていて、病院代がかかる、と奥さんにかなり冷たい仕打ちを受けていたそうです。
それを苦にしての自●だったそうですが、娘さんが3人いたのでやっぱり家に帰りたかったんでしょうね。
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