【怖い話】姿なき足音

自宅で体験した話です。

私には霊感があるのかないのかよくわかりません。

見えたことはありませんが、音だけは聞こえます。

夜の11時過ぎ、私は晩酌しながらテレビを見ていました。

隣の部屋では妻と子供が眠っていたのですが、その部屋から子供の足音がして、私のすぐ後ろで止まりました。

後ろを振り向くと誰もいません。

妻と子供はすやすや眠っています。

あまりにも足音がリアルだったので、鳥肌がたちました。

私が住んでいるのは、5階建て市営住宅の4階。

階段の折り返し部分に向かい合って玄関があるタイプの住宅です。

毎晩0時過ぎに、誰かが1階から私の住む4階を通り過ぎ、5階まで上がっていきます。

足音からして、革靴をはいた男性だと思うのですが。

しかし玄関の開く音もしなければ、下りてくる足音も聞こえません。

それが毎晩続き、さすがに怪しい、泥棒か、と思い、玄関で待ち伏せてみることにしました。

今夜も足音が聞こえてきました。

玄関ドアのスコープで見ていたのですが、今まさに私の家の前を歩いているのに、姿が見えないのです。

足音は確実に私の家の前を通過しているのに、本当に姿も何も見えないのです。

その夜も5階で足音が止まりました。

気味が悪くてそのまま寝たのですが、その2〜3日後、会社から帰ると妻にこう言われました。

「毎晩玄関の前で足音がするけど、なにか知らない?」

5階に住む奥さんから聞かれたそうです。

わずか10日間くらいの間に起こった出来事です。

疲れきった様子でコツコツとゆっくり上がってくる足音は、今でも忘れられません。

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