【怖い話】四隅の謎の紙

高校3年生の夏休みのことです。

当時、私の住んでいた町には予備校がありませんでした。

小さな進学塾はあったのですが、今のように大々的に夏期講習を開催している所は皆無でした。

他の地域の予備校が、10日間くらいの短期講習を募集していたので、親に許可をもらい行かせてもらいました。

個室寮完備との事でしたので安心していたのですが、実際は築30年くらいの古い学生向けの下宿でした。

帰省した寮生の部屋を借りて、そこで寝泊りするとのことでしたが、ラッキーなことに私の部屋は空き部屋でした。

初日は移動疲れもあり、よく眠れましたが、2日目の夜のことです。

壁際の学習机に向かい復習をしていたのですが、どうも背中が気になるんです。

誰かに見られている…?

そんな予感がして何度も振り向きましたが、何にもありません。

結局それ以外のことは何もなく、無事に朝を迎え、3日目の夜が来ました。

3日目の夜も、昨日とまったく同じです。

なんか気持ち悪いな、と思いつつ眠りました。

次の日の朝、部屋の中を調べてみました。

くまなく見てみたところ、部屋の天井の四隅に10センチ四方の紙が貼られていました。

天気のマークを複雑に組み合わせた図柄と、難しい漢字がびっしりと書かれていました。

押し入れには、他の部屋には書かれていたイタズラ書きが、私の部屋だけきれいに塗り直されていました。

先生に聞いてみたところ、その部屋だけは数年間、寮生の部屋に割り当てることもなく、一切使用していなかったそうです。

先生もそれ以上のことは知らないようで、結局あの紙はなんだったのか謎のままです。

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